『クリュウさんっ…!』
私は炎に消えたクリュウさんをずっと呼び続けていた
「渚ちゃん…クリュウは大丈夫だから少し休みな?声がでなくなっちゃうよ」
シイさんが私の背中を擦りながら言った
『でも…っ』
「あいつがそんな簡単に死にはしないだろ」
いつもの冷たい口調のショウさんだけど私を気遣ってくれているのが分かった
『クリュウさん…』
私は両手でネックレスを握り祈った
お願い…お爺ちゃん
あの人は…クリュウさんは私や町の人たちだけじゃなくこの島を守ってくれたの…
私にとってとても大切な存在なの…
だから…だからクリュウさんを守ってっ!!!
そう祈っていると「あ!あれ!」とイチ君が炎の先を指差した
指が指した方を見るとそこにはクリュウさんの姿があった
『クリュウさん!!!』
駆け寄るとクリュウさんは大きめの長方形の薄い板みたいなものを渡した
『これっ…お爺ちゃんが描いた海の絵…』
「宿はもう無理でも…それを守ればいいだろ?」
『その為にあんな危ない事を…?』
そう言うと「悪ぃかよ」といって照れていた
『…っく…』
涙がまた溢れてきた
「渚…笑え!形見は無事だったんだから…」
その言葉に私は涙を流しながら笑顔を向けた
『クリュウさん…ありがとうございますっ…』
そうしてこの島は5年前の様な平和が訪れた…