私とクリュウさんが戻ると広い大広間が宴会場の様な騒ぎになっていた
『…凄いですね』
「何か悪い…」
クリュウさんとそんな話をしているとイチ君が近づいてきた
「渚さん。あそこに飾ってある絵は渚さんが描いたんですか?」
そう言って大広間の一番奥の方に飾ってある海の絵を指差した
『違いますよ。あの絵はお爺ちゃんが描いたものなんです』
「お爺ちゃんって渚のか?」
後ろからクリュウさんが聞いてきた
いつの間にか大騒ぎしていた皆さんが絵の周りに集まっていた
『そうです。お爺ちゃんは若い頃自分の船で旅をしながら絵を描いていたんです。これはその内の1つなんです』
「中々のもんだな」
絵を見ながら関心している船長さん
『小さい頃に両親がいない私と一緒に暮らすためにその船を知り合いの人に譲ったそうです』
「渚ちゃん両親が居ないんですか?」
遠慮がちに聞いてくるシイさん
『はい。小さい頃漁に出た両親が大きな津波にのまれて…でも、お爺ちゃんが居てくれたし町の皆さんも良くしてくれたので全然淋しくなかったんです』
「良い人達だな…」
そう言うセナさん
『はい!お爺ちゃんはそんな私に良く海の世界の事を話してくれてたんです。私はその話が好きでいつの間にかこの広い世界を旅してみたいって思うようになったんです』