『セナさんはコックさん…ですよね?』


「…何で?」


分かったんだ?と聞いてくるセナさん

何でって…

『初めて会ったときにフライパン持ってましたから…それに』


「それに?」


『指…あちこち切れているから…だからっ』


「だから?」


『これ…どうぞ』


私はあるものをセナさんに差し出した


「アロエ…?」


『はい。火傷や傷にいいので…良ければどうぞ』


はい!と言って私はアロエを渡した
セナさんは少しアロエを眺めるとクスッ…と笑って
「ありがと…」

と言ってくれた

わぁ…話にくい人なのかと思ったけどそうでもないのかも…


「…ぃ…」


人は見た目じゃないってこの事を言うのかも


「おい!」


『ふへっ!?…ってクリュウさん!?あれ…セナさんは?』


どこを見てもセナさんがいない…


「…セナさんなら船長のとこに行った」


『あっそうなんですか…』


今のタイミングならもっとお話が出来たのかも…

「悪かったな」


『え?』


「俺があの時行かなきゃこんな事になんなかった…」


だからあんなに不機嫌だったんですか?とは聞けないけど

『クスクス…』


「何で笑ってんだよ!」


『すみません…でも、可笑しくって…』


「何がだよ」

ありゃ…不機嫌が余計不機嫌になっちゃった…


『いえ…私てっきり嫌われてるんだと思ってたから…そんな事で悩んでた自分が可笑しくて』


「変な奴」


そう言ってクリュウさんはさっきまでの不機嫌さはどこかに消え大笑いしていた