退職は客との駆け引きではなく、オーナーとの駆け引きだ…


だから永井は明日、大島から教わった別の方法で脱出を試みる…



脱出して見せる…!必ず…!






部屋に戻り、大島は荷物をまとめる。

そして従業員の何人かと兵士、オーナーとで大島を出口まで送りに行った。
兵士がいるのは隙を狙って脱出しようとする者が現れないようにするためだろう。



オーナーがリモコンのようなもので扉を開ける…

久々に吸い込む地上の空気…
開いた場所から流れるようにキレイな空気が自分たちを覆った。

夜が明けようとしている景色は、今まで自分たちがいた場所とは大違いだった…

明日はただ遠くから見るだけではなく、地上に立ってやる…


永井は大島と誓った。

「……明日…待ってろよ…!」
「…………あぁ…」
大島が何か考えている。




「……明日俺はお前を助けに行く…だから失敗を恐れるな…!」
「………え!?助けるって…お前…」
真剣な表情をしながら突然話した大島の発言に驚く。