「…待ってください!!待ってくださいよ!!」
永井がいくら呼びかけても、客も兵士も耳を貸さなかった。
「…二葉さん!」
二葉は先ほどから口も目も閉じていた。
永井はどうあがいても身動きがとれない…
そして兵士が永井の前を通る…
「…待って!待ってくれよ!!」
刀が高く掲げられる…
「…待てーーー!!」
ザクッ…
勢いよく振り落とされた刀は包帯ごとキレイに二葉の首を落とした…
「……う…わ…わぁあアアアアァーーー!!!!!」
隣りで二葉の首が切り落とされ、永井は頭の中が混乱し始めた…
だが永井の声をかき消すかのように笑う客たち…
無情とはこのことだ…
あの時、二葉にオーダーを譲れば…こんなことには…!
永井の中で後悔が始まる…
自分が職場のことで分からないことがあれば、いつも二葉がいた。困った時こそ二葉がいた…
二葉は自分だけに教えてくれたこともたくさんあった…
永井を信用しているからこそできることだった…