「……そんな…」
「…それが君の書いた投票用紙だったとしても結果は変わらなかっただろう。…結局 自分で墓穴をほったんだ……。」
オーナーのセリフにカウンターの客が突然キレ始めた。

オーナーの胸ぐらに飛びつき何度か引っ張った。
「……お前か!…お前が裏切ったんだな…!!」
開き直る客にオーナーは動じなかった。
「…なんのことだ。」
「…とぼけんな!!お前と俺とで契約しただろ…!!…俺がいろんな奴の名前を書いた投票用紙を箱の中に入れてお前が投票数を自由自在に動かせるようにしてやったんだ!!そのサクラ役をすることで俺はあんたから金をもらってたんだ!……そして なんだ!突然お前は契約を破ったんだぞ…!!」

オーナーは一言で片付けた。
「…そんな契約した覚えなどない。」
「……なっ…!!」


「…諦めろ。」
近くにいた客が彼の肩に手を置いた。

「……そんなデタラメなこと言っても余計自分の首を絞めるだけだ…」
「…離せ!…俺は嘘をついてない!…信じろよ…!!」


「…往生際が悪いぞ!」
「……明日にでも備えて早く服でも着替えて寝ろ!!」
遂に野次が出始めた。

「……ウソだろ!?……なぁ…オーナー!!……助けてくれ…!何とか言ってくれよ…!!」


オーナーは彼の両腕を掴んで言った。
「…俺に助けを求めていること自体 間違ってる…。」

そしてオーナーの口元が獲物でも捕らえるかのようにニヤリとした。
「…お前は明日から最低でも一週間 従業員だ。……まぁ明日でおわるかもしれんがな…。せいぜいがんばりたまえ…」


「………うわぁァァァァアアアア!!」
カウンターの客が狂気に満ちた表情になる。

「…捕らえろ!」
危険だと判断したオーナーが兵士に命令した。彼は大声で叫びながらも捕らえられて部屋を後にした。



「…終わった…な…。」
「……あぁ…」
大島と永井がため息混じりに言葉を交わした。