カウンターの客は客や従業員の方を向いて、時にはオーナーの方を向いて腕を掴みながら 自分の無実を何度も言い放った。


「………違う…!俺じゃない…!!」


オーナーは困り果て 客の肩を掴んで言った。


「……じゃあ……一つだけ聞いていいか?」



カウンターの客の口が止まる。


「……ああ…あぁ!…何でも話す…!」





「あの紙がまだお前のだなんて確認していないのに………なんで自分の書いた紙だと分かるんだ?」

「…え……?」

「……お前の筆跡…まだ確認してないだろ?」

「……だから………それは……」
「何回も多く投票用紙を入れてきたから あんなに多いのは自分の書いた紙が原因だと思ったのかな?」


オーナーに凝視され一気に青ざめる。


サーっと身体にひんやりしたものがはしる。

「………ちなみにあの紙……ほとんどが白紙だぞ。君の紙は自分で投票した…一枚だけだ…。」


「……ち……ち…ち…違う…!…違う…違う 違う違う違う違う違う!!!そんなはずは…!!」
投票用紙が散らばるとこへ駆けていき大島をどかした。

「…どけ!…………そんなはず…そんなはずは…!」

掴んでも掴んでも白紙の紙が必ず手中に入った。

自分が書いた『二葉』の投票用紙だけが見つかったが、それ以外は他の客が書いた投票用紙と……


………白紙…!………白紙…!これも……!…これも白紙…………!!




「……私が大島くんに確認させる前にそいつに入れさせたんだ。」
オーナーは投票ボックスを持って行った兵士を指差した。