「……ただし…!」
再び静かになった。
「………反対に君たちの人数より多く投票用紙が入っていたら………………そこのお客さんは すぐさま従業員になってもらう…!………これでどうかね…?」
客たちは一斉に立ち上がって盛り上がった。
「…こりゃおもしれーぞ!!」
「……どっちも応援するぜ…!ハハハッ!」
カウンターの客に一気に緊張がはしる。
もし投票用紙を見つけられて従業員になったとしたら、客 全員を敵に回した結果として誰も投票してはくれず 結局『クビ』……待っているのは…『死』だ…。
つまり、必ずどちらかがこの騒動で死ぬ!
…………でも……………
口元に少し嬉しさが表れた。
「……両者ともそれでよろしいか!?」
「…おぅ!」
「……ああ!」
遅れて大島が返事した。
「……よし、分かった!では始めろ!」
「…お…大島…」
永井の声など大島には耳に入らなかった。
そしてオーナーは一瞬 投票ボックスを持つ兵士の前を通って何かを伝えた…
大島は一時的に解放され、兵士から投票ボックスを受け取る。
中で紙同士がこすれる音がした。