「…ちょっと待て!…よく探せ!!!なぁァアア!!!!!ちょっと待ってくれよぉォオ!!!……待って…」

突然今まで耳についていた声が途絶えた…



即座に大島と永井が平居の方へ振り向く。





しかし…もはやそこには首なしの死体が鎖につながれ、辺りを真っ赤に染めていた…


「…うっ…うわぁァアア!!」
永井が死体から遠ざかるように尻餅をつく…


死体の隣には大きな刀を持った兵士…
今 首を刈ってばかりの体勢であった…


「さぁさぁ帰ろ。」
「はぁーー静か…」
「うるさかったなぁ~あいつ。」
「あーバカバカしい…」
何人かの客は帰宅の準備にとりかかった。

すでに10口を賭ける6番テーブルの男はレジで精算していた。
どうやら今日の勝ち分はここでもらえるらしい…。

大量の札束を抱え男は部屋を後にした。



そして借金まみれの8番テーブルの男は…

「あら!今日も負けちゃったのね~…。んじゃこのペンで借用書 書いてね…!」

やはり賭けに負けたようだ…


もはや男は後戻りできなかった…
結局今日も500万を借りたが すべて使い果たし、店に1100万の借金をしている。
明日になれば利息がついて1320万の借金へと膨れ上がっている…


それはまさに底なし沼のようなシステムだった…


男の表情にはもはや生きている痕跡が見られなかった…


「…じゃあー…今日はそこらへんの兵士ちゃんたちに行ってもらおうかしらね。」
オーナーに指名された何人かの兵士はお辞儀をするとその男の後ろについた。

借金を返済するまでは24時間この兵士によって監視されることになる。


確かに生きた気がしない毎日になるだろう…




男はこれからどのようにしていくのだろうか…?



永井は男の後ろ姿を部屋を出るまで見届けた…