大島はクラスの中で『チクリマン』としても有名だった。
誰か掃除をサボっていると「先生!」、何か壊れていたり 荒らされていたりすると「先生!」…気づいたことを逐一 先講に報告していた。

クラスの反応は両極端だった。
そのことで迷惑をしていた人にとっては大島が英雄のように映るが、やらかした奴にとっては逆に いい迷惑であった。
最近は体育でプールの授業であった時に、男子更衣室でボクサーパンツの忘れ物を大島は発見した。大島と一緒にいた奴は、それが誰なのか目星がついていたため そのことをさりげなく本人に聞くよう促したが、大島は我が道を進み 結局そのパンツは大島によって先講の元へ、そして最終的に誰のものなのかクラスのホームルームの時間で大騒ぎになったのだった…


永井も何度か迷惑を被ったときがあった。
でもその大島の行動に茶々を入れる者はほとんどいなかった。文句を言ったのは、クラスの中で見るからにヤンキーっぽい塚本たちぐらいだった。

でも大島は根本的に悪気はないのでお互いあまり発展しないで済む。
そんな大島とよく共にしていた自分は 何故か番長に従える子分のように守られている感じがした。



だから今回も大丈夫…!オーナーたちの悪事がバレたら確実にここを抜け出せるはずだ!

そのためにも大島には自身を持ってもらわないといけない!






















「……以上で開票は終了だ!!…では この投票結果をもとに順位を発表する…!!」

やはりここにいる客と同じ枚数の投票用紙しか出されなかった…

おかしい…!カウンターの客があんなに紙を入れたのに……!つまりオーナーがあの大量の用紙の中から 通過させたい従業員が書かれた紙だけを取り出しているんだ…!


考えれば考えるほど二人に対しての怒りがこみ上げてきた…