永井は他の客の注文をとっていても先程の男性客のことが気になって仕方がなかった。

カウンターであんなに紙を隠していても、客はないにしろ 従業員や ましてオーナーなんかが気付かないはずがないのだが…

一体何の紙なのだろうか……?


「……なぁ…!」
突然 大島が小声で話しかけてきた。
「…ん?…何?」
「……あのカウンターの客……なんか隠してなかったか…?」
「…お前もそう思ったか…!?」
「…シーっ!!バカ…声がデカすぎる…!」
何人かがこちらを向いた。もちろんカウンターの男も…。

「………あっ…わりぃ…」
サササっと大島に部屋の隅へ引っ張られた。

「…俺…見ちまったんだよ…!」
「…な…何が…?」
「……あの男が…」
大島が周りを気にしながら言った。

「…白い紙 一枚一枚に従業員の名前を書いていってたんだ…!!」
「………えっ!?…ど…どういうこと……?」
「…さぁ…分からない…。……ただ……………」
「…ただ?」