「何でもない」
はぁ。
「んじゃ、行くか」
涼はあたしを抱えあげて、歩きだした。
「ちょ、ちょっとあたし歩けるっ!!」
「バカか。さっき倒れたのは誰だ?」
「やっ、あ、あたし…」
「フッ。黙って寝とけ」
「はぁ? この状態で?!
寝れるわけないじゃんっ!!」
といいながらも、なぜか熟睡した。
「…いっ! おいっ!」
「……んかぁ…」
「何だよ“んかぁ”って。起きろ」
涼は笑いながら、言った。
んげっ!!
勢いよく起きると、涼の頭にぶつかった。
「ってぇ!」
「…っ!!!」
あたしと涼は頭を擦りながら笑いあった。