女はそう言って逃げて行った。
その途端、あたしにめまいが襲った。
――ドンっ
あたしは倒れた。
「「「優っ!!!!」」」
みんなの声を後に意識を飛ばした。
―――ピッピッピッ…
何…?
ここどこ…?
「優っ!! みんな、起きたでっ!!」
「…は~。良かった…」
「早く見つけてやれなくてゴメンな?」
「優は頑張りすぎなんよ…」
「心配掛けやがって…」
みんな…?
「ここ…何処……?」
「保健室」
「そ…か……」
さっきの事を思い出した。
「…優。さっきはありがとな」
「…うん。俺もさすがに驚いた」
「ゴメンね? 勝手に怒っちゃって…」
みんなは「優らしーよなっ!!」と言って笑った。
あたしもつられて笑った。
「…でも…誰がここまで運んでくれたの?」
「涼や」
涼…。
「…ありがとね」
「あぁ」
「うわっ! 珍しいっ!! 涼が笑ってる!!」
「ホンマやっ!!!」
「どしたの?」
涼からとてつもない殺気が出てる様な。
「す、すまんて…怒らへんで? なっ?」
「お、おうっ!! じょ、冗談やんけっ!!!」
みんなもビビってる。
その光景を見て笑った。
みんなもあたしを見て笑った。
「みんな。ありがとね」
みんなは照れたように笑って頭をかいた。
「優。レモンティー飲む?」
買って来てくれてたんんだ。
「うん。ありがと…」
翔はニカッて笑ってから「どういたしまして」と言った。
受け取り、ストローを入れた。
やっぱり、甘くておいしい。
翔がベットの隣のイスに腰掛けた。
「んで。優、もう決めたか?」
翔が真面目な顔をしてる。
「…何を?」
「玖龍の件…」
そうだった…。
玖龍に勧誘されてたんだよね…。
「一緒にやっていかないか?」
「…一緒に……」
最初は絶対嫌だった。
族なんて、ゴメンだった。
族ってケンカばっかりして、悪い奴らというイメージが強かった。
だから、考えとくとか言っておきながら、断る予定だった。
だけど―――今は。
仲間思いで、優しくて、笑顔が絶えなくて、いつも心配してくれて、お茶目で、可愛くて、クールで、面倒見がよくて、気が利いて、
あたし自信を受け入れてくれたみんな。
一緒に暮らしていくにつれて、分かった。
本当の気持ちに…。
「みんなと一緒に…いたい」
みんなはとても嬉しそうな顔をして、頭を撫でてきた。
「今日から、優は俺らの仲間な!!」
「改めてよろしく」
「よろしゅー」
「嬉しーわっ!!!」
「…毎日一緒だ」
「ありがと。みんな!」
今日から玖龍のメンバーだ。
ただ単純に嬉しい。
「んじゃ。今日やるか!」
「おっ! 久しぶりだな~っ!!」
「やるって何を?」
「優の歓迎会♪」
「本当に?」
「ホンマやって! 下っ端達に会えるで!!」
「優見たら、驚くやろな~!!」
「まさかの椿姫ってな~」
そんな事を言いながら、携帯を取り出して電話し始めた。
楽しみだな~!!
下っ端達に認めて貰えるかな…?
もし。
認められなかったらどしよ。
そんなのイヤ~…!!
「…何考えてる」
「んー。ちょっと?」
「余計な事考えんなよ?」
涼はそう言って、頭をクシャと撫でてくれた。
「ヅラ取れちゃう」
「…あ。すまん」
「うそ。そんな簡単に取れないし!」
あたしが笑うと涼も笑った。
「みんな来るって!」
「こっちもや!」
「俺ん所も!!」
俺ん所もって…
「チームわけされてんの?」
「ん。あー。
そだな、連絡取る時に電話したりとかでな」
「へー」
「優って…まぁいいや」
「ん?」
「何でもない」
はぁ。
「んじゃ、行くか」
涼はあたしを抱えあげて、歩きだした。
「ちょ、ちょっとあたし歩けるっ!!」
「バカか。さっき倒れたのは誰だ?」
「やっ、あ、あたし…」
「フッ。黙って寝とけ」
「はぁ? この状態で?!
寝れるわけないじゃんっ!!」
といいながらも、なぜか熟睡した。
「…いっ! おいっ!」
「……んかぁ…」
「何だよ“んかぁ”って。起きろ」
涼は笑いながら、言った。
んげっ!!
勢いよく起きると、涼の頭にぶつかった。
「ってぇ!」
「…っ!!!」
あたしと涼は頭を擦りながら笑いあった。
「ゴメン涼」
「気おつけろ…ってかもう行くぞ?
みんな先に行ってる」
「うそ~」
涼に抱えられて車を出た。
「ここからは歩くよ!」
「黙ってろ」
涼はツカツカ歩いて行く…。
ってかデカっ&広っ!!
「な、何ここ?」
「ん? 俺の実家」
「うぎゃっ!!!」
「なんだ“うぎゃっ”って…」
涼は笑いながら歩いて行く。
「あら。涼、まだ行ってなかったの?
まあ! そちらの方は?」
…綺麗な人。
「仲間。ってか何処だ?」