涼の鼓動が、落ち着かせてくれる。


涼の胸に耳を当てて、鼓動を聞いた。


「…眠れ」


涼は甘くて低い声で命令口調でそう言った。



そのまま眠りに落ちた…。


―――大スキ。










――ズシッ


ん?

上に重いものが乗っかってる。


「んぁ―――」

「優~っ♪ 起きて~!!」

「…んぅ……」

「寝顔もcuteな優ちゃ~んっ!!

起きないとキスしちゃうぞ?」



――ガバッ

すぐに起きた。


「GOOD MORNNING?」

「…はよー」


陸があたしの上にまたがってる。

君だったんかい…重いものは。


「あれ? …みんなは?」


周りを見渡すと、涼さえもいない。









「…ん? 用事だって」


用事…。
なんだろ?


「昨日は驚いた?」

昨日…。

キスの事を思い出し、気分がブラックになる。


「あー。当たり前…」


陸はキャピっと笑って「優。あと1回する?」と聞いてきた。


「…結構です」


立ち上がり、トイレで着替えた。


「遊びにイコ~っ!!」

「んっ! いいよ~!!」


近くの有名なモールに寄った。









ゲーセンに寄った。

「うひゃー! 陸強いっ!! なんでー?」

「強くないよ…優が弱すぎんの…」

「酷っ!!」


あたし達がじゃれ合ってると「陸君?」後ろから美人な女と男達が立っていた。

陸は凄く嫌悪感を出してる。

「…知り合い?」

「……知らねぇ」


いきなりぶっきら棒になった陸に、戸惑いを隠せなかった。


陸に手を引っ張られてゲーセンから出た。



どうしちゃったんだろう…。

陸の様子が変だ。


あたし達はドーナツ屋に入った。


「何か食う?」

いつもの陸に戻ってる。







「あ…。うんっ!! あたしコレ」

「んじゃ俺はコレ」


トイレ行きたくなってきた。


「ちょっとトイレ行ってくるね」

「おう。気を付けろよ?」

「うん!」


トイレに駆け込み、用を済ませ、陸の所に戻ろうとした時だった。


「あら」

「・・・」

さっきの女に出くわしてしまった。


女はあたしを見るなり、聞いてきた。


「あんた誰? 陸君の彼女?」

「…違います」

「へぇ~! 珍し~っ!!
彼女じゃないのに、遊んでるんだ~!」


女は怪しい笑みを浮かべながら、あたしを舐めまわすように見る。


「なんですか?」






「今日涼君はいないの?」


涼…?

なんで?


「・・・」

「いないんだ? つまんな~い!!」


女は髪をクルクル触ってる。


この人…
なに者なの…?


「…誰ですか?」

「知りたいぃ?あたしはねぇ。


涼と陸君の元カノ」

え…?


涼と、陸の、元カノ…?

正直、聞きたくなかった言葉。


「あなた、誰狙いなの?」

「何? 狙いって…」








なに、言ってるの…?


「しらばくれてんじゃないわよ。

どうせ、陸に近付いて、他を狙うってわけでしょ?」

「どう言う、意味…?」

「悟に近づくために陸の彼女になったの!
涼君も軽々と騙されちゃって…ウケる~!!

マジ。男って単純よねぇ~!

爆笑なんだけどっ!!!」


女は高々に笑った。


「でも、悟にキスせがんでるとこ見られちゃって…バレちゃったのぉ。


あと少しだったんだけどな~」

ちょっと待って。
どう言う事?


「…意味分かんない。
じゃあ、悟って言う人に近づくために涼と陸を利用したって事?」

「そうよ。
そしたら、簡単に近づけるじゃない」

「最低。汚い手ばっか使って!! 
悟が手に入ったら、涼は捨ててたって事?」

「そうよ」







淡々と答える女が、醜い。


「…汚い女」

心が苦しくなる。


「何ですって!!?」

「汚いじゃないっ!! よくそんなんで…っ!――ビリビリッ

後ろから、何かが当てられた。

意識がとうのいて行く…。


女と男の笑ってる顔が見える。

「…何……で…」

完全に意識を飛ばした。





暗い…。
ここ何処?


うわっ…。

手と足をひもで結ばれてる。



最悪。

口も変なので押さえられてるし。






これじゃあ、動けないじゃない。


「あっ。起きたぁ~?」


大きな男が近づいてくる。

そして、体を舐めるように見る。


「いい体してるねぇ。顔も超美人さん♪」

すると、後ろからも数人の男達が出てきた。


「誰からいく?」

「俺、最初がいい」

「じゃあ、次は俺な」


意味分からない会話をしてる。


すると、さっきの女が出てきた。


「あら~。お気づき?

今からあたしを侮辱した罰をしてあげましょ~ねぇ」


女はそう言うと、あたしの前に来て、洋服を引きちぎった。


「ん〰〰!」


男達からは歓声が上がる。