過去の記憶がよみがえってくる。
肩が小刻みに震えてる。
幼稚園に通っていた頃、夜両親とドライブしてたら、車のライトが付かなくてパニックになって事故にあったんだ…両親はあたしを庇って死んだ。
両親の下敷きになって、死んでる両親と一緒に暗くて、悲しい夜を朝まで過ごした。
両親は朝になると、冷たくなってて…。
だから、夜は嫌いだ。
暗いのがトラウマになってる。
「優。大丈夫か?」
黙って涼にしがみつく。
返事なんかする余裕は全くない。
涼はあたしを抱えて、キッチンに向かった。
引き出しからろうそくを取り出して、ライターで火を付けた。
ちょっと…明るくなった。
涼はそれをテーブルに持っていき、テーブルをベットの傍に置いた。
そしてあたしを抱えたまま、ベットに入った。
まだ涼に抱きついてる。
涼はあたしを引き寄せ抱きしめてくれた。
そして、片方の手で頭を撫でてくれる。
「…大丈夫だ」
甘く低い声で囁いてくれる。
涼の顔を見て、少し落ち着きを取り戻した。
「やっぱり、怖いんじゃないか…」
涼は優しく微笑んで、顔を覗き込んでくる。
…カッコイイ。
他の女の子にこんな事したらいちころだな。
他の女の子にもするのかな…?
イヤだよ。
そんなの考えたくもない。
涼の胸に顔を埋めた。
涼は黙って頭を撫でてくれる。
涼の鼓動が、落ち着かせてくれる。
涼の胸に耳を当てて、鼓動を聞いた。
「…眠れ」
涼は甘くて低い声で命令口調でそう言った。
そのまま眠りに落ちた…。
―――大スキ。
――ズシッ
ん?
上に重いものが乗っかってる。
「んぁ―――」
「優~っ♪ 起きて~!!」
「…んぅ……」
「寝顔もcuteな優ちゃ~んっ!!
起きないとキスしちゃうぞ?」
――ガバッ
すぐに起きた。
「GOOD MORNNING?」
「…はよー」
陸があたしの上にまたがってる。
君だったんかい…重いものは。
「あれ? …みんなは?」
周りを見渡すと、涼さえもいない。
「…ん? 用事だって」
用事…。
なんだろ?
「昨日は驚いた?」
昨日…。
キスの事を思い出し、気分がブラックになる。
「あー。当たり前…」
陸はキャピっと笑って「優。あと1回する?」と聞いてきた。
「…結構です」
立ち上がり、トイレで着替えた。
「遊びにイコ~っ!!」
「んっ! いいよ~!!」
近くの有名なモールに寄った。
ゲーセンに寄った。
「うひゃー! 陸強いっ!! なんでー?」
「強くないよ…優が弱すぎんの…」
「酷っ!!」
あたし達がじゃれ合ってると「陸君?」後ろから美人な女と男達が立っていた。
陸は凄く嫌悪感を出してる。
「…知り合い?」
「……知らねぇ」
いきなりぶっきら棒になった陸に、戸惑いを隠せなかった。
陸に手を引っ張られてゲーセンから出た。
どうしちゃったんだろう…。
陸の様子が変だ。
あたし達はドーナツ屋に入った。
「何か食う?」
いつもの陸に戻ってる。
「あ…。うんっ!! あたしコレ」
「んじゃ俺はコレ」
トイレ行きたくなってきた。
「ちょっとトイレ行ってくるね」
「おう。気を付けろよ?」
「うん!」
トイレに駆け込み、用を済ませ、陸の所に戻ろうとした時だった。
「あら」
「・・・」
さっきの女に出くわしてしまった。
女はあたしを見るなり、聞いてきた。
「あんた誰? 陸君の彼女?」
「…違います」
「へぇ~! 珍し~っ!!
彼女じゃないのに、遊んでるんだ~!」
女は怪しい笑みを浮かべながら、あたしを舐めまわすように見る。
「なんですか?」
「今日涼君はいないの?」
涼…?
なんで?
「・・・」
「いないんだ? つまんな~い!!」
女は髪をクルクル触ってる。
この人…
なに者なの…?
「…誰ですか?」
「知りたいぃ?あたしはねぇ。
涼と陸君の元カノ」
え…?
涼と、陸の、元カノ…?
正直、聞きたくなかった言葉。
「あなた、誰狙いなの?」
「何? 狙いって…」
なに、言ってるの…?
「しらばくれてんじゃないわよ。
どうせ、陸に近付いて、他を狙うってわけでしょ?」
「どう言う、意味…?」
「悟に近づくために陸の彼女になったの!
涼君も軽々と騙されちゃって…ウケる~!!
マジ。男って単純よねぇ~!
爆笑なんだけどっ!!!」
女は高々に笑った。
「でも、悟にキスせがんでるとこ見られちゃって…バレちゃったのぉ。
あと少しだったんだけどな~」
ちょっと待って。
どう言う事?
「…意味分かんない。
じゃあ、悟って言う人に近づくために涼と陸を利用したって事?」
「そうよ。
そしたら、簡単に近づけるじゃない」
「最低。汚い手ばっか使って!!
悟が手に入ったら、涼は捨ててたって事?」
「そうよ」