「ややや、やめますっ!!
ど、どどどうかお許しをっ!!!」

「…失せろ」


男を睨みつけた。

「に、にに逃げるぞっ!!!」

男は奴らと一緒に逃げて行った。


涼が近づいてくる。

みんなは固まってる。

「優、ありがとな」

「みんなに…バレちゃったね……」


ゆっくりみんなを見た。

重い沈黙が流れた。


受け入れてくれないかもしれない。


そんな思いが、頭を過る。




「も、もしかして…優…?」

翔が恐る恐る聞いてくる。


静かに頷いた。









「騙してて、ごめんなさい。

黙ってて、くれる…?」


あたしが聞くと、みんなはニカッと笑って「やっぱ、女だと思ってたんだよな~」と言って頷いてくれた。


「みんな!! ありがとっ!!!」

みんなに微笑んだ。

「じゃあ。
片付いた事だし…今日はもう帰るか」


帰りは、歩きではなく、車を持って来て貰った。




「それにしても優。男装似合うね」

ニカッと笑い「でしょ?」と言った。


翔は、あたしの頭を撫でてから笑った。


「可愛い~っ!!」

「はいはい。お世辞はいーよ」


呆れた顔で言うと、みんなは吃驚した顔をして笑った。


……?








みんなと別れてから、部屋に入った。


「涼…今日。
見捨てないでくれて…ありがとね?」

涼はあたしの頭に手を置き、笑った。


「仲間だもんな?」

その笑顔に、胸が苦しくなった。


気づいたら涼に抱きついてた。

涼は抱き返してくれて、本当に嬉しかった。


「ありがと。涼…」



その後。
一緒にご飯作って、テレビ見て、一緒に眠った。







―――2週間後

熱い。

体が重い。

頭が痛い…。


やばい。

「んっ…りょ…うぅ…」

涼の頬を軽く突いた。


「ん? …どした……?」

「…助け…て…」


涼はすぐ目を開けるとあたしを見、額に手を当てた。


「熱いな…」

それだけ言うと、あたしを抱き、適当にカツラを被せ、1つの部屋まで来た。




【保健室】


涼は「失礼します」と言って入った。


「森野さん。どうしたの?」

「…熱がある」









先生は、風邪薬を取って、涼に渡した。

「ゴメンなさい。
私今日、親戚の結婚式があって、もう行かなきゃなんないの。

様子、見ててくれる?」

「…分かった」


それを聞いて先生は出て行った。


「…優。大丈夫か?」

「熱い…」

「…クーラー付けるか?」

静かに頷いた。

しばらくすると冷えてきた。


「涼…寒いよぉ」

涼は隣に潜り込んできて、あたしを抱きしめた。


「…温かくなるだろ」

静かに頷いた。


涼の体温が伝わってくる。

―――温かい。


しばらくすると、涼があたしを抱えあげて、部屋まで運んでくれた。

部屋に行く最中に、みんなに会ったからそのまま付いてきた。









自分のベットに寝かされた。

涼は「メシ作る」とか言ってキッチンに行った。


「優。大丈夫?」


陸が可愛い顔であたしを覗きこんでくる。

「…大丈……夫」

微かに笑った。


「寒い?」

「ちょっと…」

「俺が温めてあげるっ!!!」

とか言って、毛布の上から抱きついてきた。


可愛い。
可愛いんだけど…。

「…重い」

すると、翔も双子も「俺もやろか?」とか聞いてきた。


「陸だけで…充分…」

陸に向かって微笑んだ。

陸は顔を赤くして、力強く抱きついてきた。


「顔赤いな…」








「ホンマに大丈夫か?」

「…うん」

「無理はアカンで?」

「そや。
無理しおったら、体爆発してもうで?」

「ありがと…みんな…」

「ゆっくり、眠って?」


陸は頭を撫でてくれた。

「ありがと…陸……」


ゆっくり眠りに落ちた。


「……んぅ…」

眩しい光が目を刺激する。

目を擦った。


「…起きたか?」

涼が額に乗せてあるタオルを取った。

そして、水に濡らして絞って頭に乗っける。


冷たいくて、気持ちい…。


「みんなは?」








「戻った。
差し入れまで持ってきてくれた。

優の好きなお菓子まである。

…お腹すいたか?」

「…うん」

涼は優しく、体を起こしてくれた。


「…ありがと」

「…お粥作ってあるから。待ってろ」


涼はキッチンに戻って行き、お粥を手に戻って来た。


「おいしそ。ありがとね」

あたしが微笑むと「気にすんな」と言って笑ってくれた。


「口あけろ」

はい?

「涼が食べさせてくれるの?」

「おう。特別な」

涼はニカッと微笑むと、口元にスプーンを持ってきた。


口を開き、スプーンを加えた。

「おいし!!」


笑うと、涼も「だろ?」といって笑った。








涼は全部食べさせてくれた。


「ありがと」

「感謝する前に早く治せ」

涼はあたしの額を軽く突いた。


「涼。片付け、あたしも手伝うよ」

立ち上がろうとした時、立ちくらみがして、その場に座り込んだ。

「優! 大丈夫か?」


涼は傍に来て、支えて座らせる。

「はー。もう心配かけんじゃねーよ…」

「…ゴ、メン」


涼はあたしを寝かせ、キッチンに向かった。


なんかあたし。
迷惑かけてばっかだな…。

何も出来ない自分が醜い。


涼に、心配かけてばかりで…。

いつも助けて貰って。

…虚しいよ。