「…ありがとう…」






澤本くんがエンジンをかけると、外から男たちの声が聞こえた。





どんどんと窓をたたいていたが、気にせず車を出発させた。





「ここ右折? 左折?」



そう澤本くんは聞いてくるけど、真っ黒のカーテンで外の景色は全く見えない。





「ここどこ?」





駅からそこまで遠くはなかった気がするけど……





「んー〇〇町だって。ほら、信号機の下」






「本当だ。とりあえず▼▼区方面に行ってもらえる?」






「りょーかーい。ってか家遠いな」






「うん。まあね」






「じゃあ同じ小学校のやつとかいないんじゃね?」








「ううん、咲が一緒」