昨晩の父の言葉でこの国の王女マリーは眠る事も出来ず、朝を迎えた。


今日は彼女が15になる生誕日。


あの日の声との約束の日だ。


彼女はベッドから窓辺に歩み寄り、カーテンを引いた。


一睡もしていない眼には朝日は眩しすぎる。


マリー王女は目を細め、城下町を見やる。


今日も町はのどかだ。


私は一国の王女として、この国と民達を守らなければいけない。


マリーは思った。


あの日、父と母に声は告げた。


「お前達の子は女だな。大事に育てるがいい…。娘が15に成った紅い月の日に迎えに来よう…。守ろうとするならばこの国を消してやろうぞ…ーー」


父が言うに、今日が丁度紅い月の日。


今日、私は連れてゆかれるのだ。


マリーの見慣れた城下町が涙で滲んでいく。