「今日起きてすぐに、城の庭園から摘んで来たのです!」


そう言ってヨーゼフはマリーに小さな花束を差し出した。


よく見ると、ヨーゼフの頬やその煌びやかな衣服には土のような物が付いている。


マリーはそんな弟を見てクスッと笑うと、手を伸ばし彼の頬に付いた土をそっと払った。


「ありがとう、ヨーゼフ。私の為に早起きをしてお花を届けてくれたのね。とても嬉しいわ…。シンディ、これにこの小さな花束を生けてくれるかしら?」


マリーは側にあったワイングラスとヨーゼフから受け取った花々を侍女に手渡した。


シンディは「はい。」と頷くと水場の方へと駆けて行った。


姉弟二人になった部屋で青い瞳と緑の瞳が交差する。


「15になりましたね。もう誰かのお嫁に行ってもおかしくない歳になりました…。僕が姉上と結婚したいぐらいです…」