教室に帰り自分の担当場所を確認して移動することにした。

《特別棟の4階…さっき居たばかりじゃねぇか。科務室って先公の部屋かよ》

掃除は3人一組で月に一回2週間割り振られている。
今日から本格的に始まった。

《まさにトイレの真ん前じゃんか...。》

『失礼します。掃除に来ました。』

綺麗に整頓された部屋
4つの机があるが、使われているのは1つだけな感じ。

私物も多く、気持ち良さそうなソファーがある。
………ガチャ

『!!!』

「お前担当か、あとの奴どうした?」

そこは担任の部屋だった。

『…知らないです。』

「あぁ~、お前教室に馴染んでねぇからな。」

《ベラベラ喋ってんじゃねぇよ!!》

黙ったら負けなような気がして、とりあえず返してみた。

『まぁ、クラスメイトに興味が無いんで。』

「だりぃんだもんな。」

正直、担任と話したのは初めてに近い。入学式での初対面から本能的に避けていた。適当なんだが全てを見透かしているような瞳や、逆らえないオーラが苦手だった。

『人と絡むのが苦手なんです。』

「ほぉ、夜はだいぶヤンチャみたいだけどな。」

隠しても無駄らしい。この人には完全にバレてる....。
しかし、どこまで知っているのか、なんで知っているのか。それをオレに伝えて何がしたいのか。全く読めない。こちらの動揺は確実に伝わっている。目の前に立つ涼しい顔をした川瀬 雄壱。

《終わりか、短い学校生活だったな。》