その日は緊張と考え過ぎたせいで、アルコールの回りが速かった。



おまけに、デザートに食べたクレーム・ド・ブュルレのカラメルが歯に挟まって気持ちが悪い。

嗚呼、最悪のコンディション。

でも丁度都合良く、家に着くと雄太が帰ってきていた。


「雄太、お願い!

雄輝のお迎え、代わって!」


あたしは、雄太をとっ捕まえると、有無を言わさず自転車の鍵を手に握らせた。

ここはそれ、母親の命令ってことで強気に。


「って、無理!

俺、これから図書館行って勉強すんだ」

「そんなこと言わないで。

母さんを助けると思って!

母さん、今日は努先生に会える心境じゃないんだよ……」


「なんでだよ?」


その目は、あたしの心の内を探っていた。