「何で……っ」



「お前…の、考えて……る…こと、くらい…分かる……に、決まって…んだろ…。」



海斗……!



「ゴメン……な?
みな…み……。」




さっきから、謝りすぎだよ……。



何にも悪いことしてないじゃない――。



今、こうして喋ってるから何とも思ってないけど時間はもうない……―――



海斗の意識も少しずつ薄れてるような気がする……。



もう、ホントに、これで終わっちゃうんだ――――




「何で謝んのよ……
海斗は悪くないよ?

悪いのは――私。

ゴメン……海斗…」



まだまだ伝えたいことはいっぱいあった…。


でも、伝えられる時間までも削られている――。



もうすぐ、先生が言ったタイムリミットの30分になろうとしていた………。




その時、ふと海斗の呼吸が止まりかけた…。



「……っ」




海…斗……?

少しずつ海斗の顔が苦しさへと歪んでいく――。



どうしたら………



「み……な…み………
今…まで……そ……ばに…いて…くれて………





あり…が……とう―――。」




――!!


苦し紛れの海斗の最後の言葉だった……。



「海斗!!!
ちゃんと届いたから!!

海斗の声、ちゃんと届いたから――!!」




そう叫んで私は海斗の頬に手を置いた。



「だから、安らかに眠って――。

もう、安心していいから……――――」






チュッ………




ピ―――っ




私が海斗の唇に優しくキスしたと同時に、虚しい機械音が病室に響き渡った―――。



そして―――――






海斗の目からも、一粒の涙が伝っていた………。





“大島海斗―16歳 永眠――”