車の中で待つこと数分。

「春菜ちゃん、ちょっと来て。」

「・・え?
無理だよ・・・」

「大丈夫だって!
久保先輩の顔見たいでしょ?
気づかれずに
見れるから おいで。
俺の事 信用して?ね?」

「・・・うん、」

どういう事なのか
分からないまま
いとこくんの後をついていく。

「ここ、久保先輩の部屋。
俺達とか みんな
ここから出入りしてんだ」

出入り口用の
窓があり 地面には
輝樹の靴が置いてある。

「ちょうど 誰もいないし
久保先輩 寝てるみたいだから
顔見たいなら 今が
絶好のチャンスだよ?」

・・・見たい。

でも、

「大丈夫?起きない?」

「平気だよ。さっき声掛けたんだけど
超爆睡中みたいだし
起きそうになったら
逃げればいいしね」

そう言われると・・・

「うん。ありがとう」

忍び足で 部屋に上がる。

いとこくんの家と言い
輝樹の部屋と言い
私ってば 不法侵入ばっかりだ・・・