「春菜・・・？」

「あ、え・・？何？」

「どうかしたか？」

「ううん？どうもしてないよ？」

「家にいると　つまんないか？」

「そんな事ないよ？」

「よし、出かけるぞ」

「え？あ・・うん、」

慌てて身支度を整え
輝樹の車に乗り込んだ。

途中の駐車場に車を停めると

「ほら、手」

と差し出された手を握り締め
アーケードを歩き始めた。

休日のせいか
人が多くて
そのほとんどが
若い人達だ。

道端に座り込んで話してる人達や
ナンパしてる人達、
幸せそうに歩いてるカップル。
人をすり抜けて　颯爽と走る自転車、
アーケードの真ん中で
スケボーで遊んでる人達

いろんな人達が行き交う中
私達は　どういう風に見えてるんだろう。

ふと、そんな事を考えながら
隣にいる輝樹の顔を見上げた。

「ん？歩くのだりぃか？」

「ううん、全然平気。
どこ行くの？」

「目的地か？
そんなもんねぇけど？
たまには　並んで歩くのも悪くねぇだろ？」

悪くないどころか

むしろ・・・・

うれしい。

こんな風に昼間
並んで歩いて・・・

彼女の特権って気がして・・・