「久保先輩って手早いんだけど
一つ、マメ情報教えてあげる。」

「マメ情報・・・?」

「俺、そんな親しくないから
だいたいの事は 人伝いに聞いてるんだけど
これは 兄貴から聞いた事だから事実だよ。
久保先輩って、女と
絶対 一緒に寝ないんだってさ。」

「寝ない・・・?」

「そう、やる事はやるけど
寝ることはないんだってさ。」

「意味分かんない」

「んー、俺も よくは知らないんだけど
寝てる顔を見られたくないとか何とか・・・
だから、眠ってる顔を見た事あるなら
気を許してる証拠みたいだよ」

「うそ?ほんとに?」

「春菜ちゃん、少しの間 
一緒に住んでたんでしょ?」

「住んでたけど・・・
手は出してこなかった・・・」

「まぁ・・・手を出さないのは
他にも理由があると思うけど・・
それよりも
眠った顔を見た事ある方が
たぶん貴重なはずだけど?」

「そうなんだ・・・・
何だか・・・少し
うれしいかも・・・」

「とは言っても
やっぱ、久保先輩の考えてる事は
よく分からないけどさ。
まさか 別れるとはねぇ・・・」

「まだ・・別れてないもん」

「あー、そっかそっか。
でね。ちょっと
実験してみようと思って」

「実験?」

「そっ、実験。」

「どんな・・・?」

「それは・・・・
まぁ、今夜 まさか
先輩が来るとは思ってもみなかったから
まだ最終調整してないんだけど
だいたいのセッティングは考えてあるから。
春菜ちゃんは ひとまず
俺を信じてくれたら・・・
ただ・・・」

「ただ?」

「もしかすると
完全に別れることになるかもしれないけど・・・」

それって・・・

賭けって事・・・?