こういう時に限って
輝樹は 来るのが早い・・・
普通に約束した時に
これだけ正確だったら
どんなにいいだろう・・・

助手席に乗り込むけど
私の方を見ようともせず
前だけを見ている。

ただただ、沈黙だけが続く車内。

輝樹の家に着き
いつもの位置に座るけれど・・・

静かな時間・・・沈黙の嵐だ。

そんな空間が20分ほど続き

ようやく口を開いた言葉は

「俺の携帯見た?」

「見てない・・・・」

「そっか、じゃ
何で帰った?
俺が帰って来るまで
待っとけって
前言ってあったよな?」

「誘惑に負けそうだったから・・」

「誘惑?何の?」

「携帯見ちゃいそうな・・・」

「あー・・・・
なるほどな・・・
別に見ても良かったんだぞ?」

「罪悪感で苦しみそうだもん」

「そうか?ほら、
見ていいぞ?」

そう言うと
自分の携帯を
私に放り投げた。

「見ないでもいい・・・」

渡された携帯を 机の上に返すと

「見にくいか?じゃあ・・・
俺が 説明してやるよ」

そう言うと
私の隣に座り
自分の携帯を開き始めた。