けど・・・・
そんな甘い時間は
続かないものだ。
その数分後、私は
窮地に立たされている。
「早く出れば？」
「う、ん。」
バッグの中で
携帯が鳴り響き
それを取ろうとしない私に
輝樹が イライラした様子で
バッグの中から携帯を取り出し
私に差し出した。
出るしかないんだけど・・・
でも、でも
逆瀬川くんだ・・・
冷めたような目で
輝樹が見つめる中
「もしもし・・・」
「佐々木さん？
元気ないけど
何かあったの？」
「何もないよ・・・
どうしたの？」
「明日 暇かなって思って。
ほら、この前行った映画館で
明日 イベントするみたいだから」
「えっと・・・あのごめん。
無理かも・・・・
また電話するね。ごめんね・・」
こんな近距離で聞かれてると
確実に
逆瀬川君の声が聞こえてる・・・
案の定・・・隣を見ると
輝樹の視線が痛すぎるくらいだ・・・
