「何で？」

怒ったような低い声で
そう言いながら
私の前に来ると
顔を覗き込む。

やばい・・・
怒らせた・・かも。


「春菜、俺の目見ろ。」

恐る恐る見上げると

「本気で　そう言ってんの？」

真剣な表情で
やっぱり怒ってる様子の輝樹。

「・・・・・・・」

「俺は今　春菜といるのに？」

完全に　爆弾スイッチを押してしまったようだ・・・

「だ、だって、
誘いの電話だったんでしょ？」

私にだって　言い分があるんだから・・・

「あぁ、だけど
俺は　今　春菜といるよな？」

「・・・そうだけど」

「なら　春菜が帰る必要は
まったくないはずだよな？」

そうやって　冷静に言われると
私が悪かったのかも・・・
なんて思えてくる。

けど、素直に　謝れるはずもなく
ただ沈黙が流れる。

口ベタな私は
素直でもなければ
反論するような能力もない。

こんなふうに
ケンカっぽくなると
うつむいて黙ってる事が精一杯。

それでも、内心では

どうしよう、怒ってる。
あんな事言わなければ良かった。

なんて　焦りまくってるのが現状だ。