「先輩は　その、
春菜ちゃんが　未経験だって知ってるの？」

「・・・知ってると思う。
付き合い始めたとき
気づかれてたから・・・
もしかして　未経験って知ってるから
面倒臭いと思われてるとか？」


「いや・・・何度か
そういう子を相手にしてきてるはずだから、そういう事は思われてないと思うけど・・・」

不安を煽るような事を聞いたような気がする・・・

「じゃあ、何で・・・？」

「何で・・・だろう。
大事にしてるとか・・・」

「大事にしてるなら
浮気なんてしないでしょ・・」

「あー・・・・そっち・・・
でも、先輩と似たような俺が言っても
説得力ないかもしれないけど
浮気と、彼女は　まったく別なんだよね・・・
こう、何ていうか
彼女にできない事を他の女に求めるというか・・・
どうでもいい女だから
できる事があるっていうか・・・」

「・・・意味分かんない。」

「言ってる俺も
意味分かんなくなってきた・・・」

「私って、輝樹の彼女だよね？
浮気相手とかじゃないよね？」

自分が　輝樹の彼女なのか
浮気相手なのかすら
自信なくなってきた・・・

「俺の知ってる限りじゃ
先輩の彼女は
春菜ちゃんだから、それは
信じていいと思うけど・・・」

「それなら　いいや・・・うん。」

今の私は
贅沢を言ったらいけない。
彼女っていうだけで
幸せなんだし・・・

そんな感じのまま
私の高校２年の夏休みは
幕を開けた。