「美香、一緒に帰ろ?」

「あー・・・ごめーん、
今日、翔ちゃんの仕事が休みだったみたいで・・・
ほんとっに ごめん・・・」

「デートかぁ・・・いいなぁ。
いいよ、じゃ
また 明日ね」

「ほんとに ごめんね、
この埋め合わせはするから」

「はいよー。じゃあね~」

仕事休みとか知ってるんだもんなぁ・・・

私は まったく分からない。
輝樹の休み・・・



・・・そうだっ!


考えてみたら・・・・
前、夕方は電源入れとくって言ってたっけ・・・

いとこくんの家に行くって名目で・・・
電話してみようかな・・・

でも、仕事中だろうし・・・
でも、でも、
一回くらいかけてもいいよね・・

少しドキドキしながら
ダイヤルボタンを押す・・・

「・・・お客様のおかけになった・・」


ありえない・・・・
普通に電源切ってあるし・・・

少しでもドキドキして
緊張した今 この瞬間が
思い切り バカを見た気がする。

信じた私がバカだった。


歩きながら 段々と腹が立ってくる・・・



自分の家の方向に向かってた足を
そのまま いとこくんの家の方へと向けた。

何も用なんてないけど・・・

この前の あの白々しい演技の文句でも言ってやろう・・・

そうだ、いとこくんのおかげで
私は 輝樹に捕まったわけだし・・・

いとこくんが 輝樹に
私が来た事を知らせなければ
そのままだったのに・・・

・・けど、
文句言うべきなのか・・・

感謝すべきなのかは・・・

未だに 分からないけれど・・