「佐々木さん、先輩が
廊下で呼んでるよ?」

クラスメイトの1人が
少し離れた位置から
大声で叫んだ。

廊下に目をやると、

逆瀬川くんだ。

「どうしたの?」

「どうしたってわけでもないんだけど、この前から電話かけても取らないから・・
俺 何かしたかな・・って気になって」

「あ・・・・ごめん、
違うの、全然
そんなんじゃなくて・・・
私のミスで番号消えちゃって・・・
もう一度、教えてくれない・・・?」

「なっんだぁ・・良かったぁ・・」

その場に座り込むように
髪の毛をかきあげながら
ため息をついた。

「俺、てっきり
何かして避けられてるのかと思って
ハラハラした・・・」

「そんな気にしてたなんて知らなくて・・・
ほんっと、ごめん・・・」

「いいよ、いいよ。
そういえば・・・
この前の夜さ・・」

「この前の夜・・?」

ちょうど その時
予鈴が鳴り響いた。

「あ、俺 行かなきゃ・・・
じゃあ、今 着信入れとくから・・
今度は消さないようにね。」

「あ、うん。
あ、ねぇ、夜がどうしたの?」

「あー、また今夜にでも
電話するから その時言うね」

そう言いながら
慌しく 走り去ってしまった。