「私には無理・・・」
「無理じゃない。
俺は、春菜を
手離す気なんて
ねぇから」
「っだって、浮気ばっかりじゃん・・・
そんな耐えられるような精神なんて 私にはないよ・・・」
「俺が好きなのは
春菜だけだし、
別れたくないのも春菜だけ、
車に乗せるのも春菜だけ、
親に紹介してるのも春菜だけ、
家に連れて来るのも
春菜だけ・・・
これだけじゃ不満か?」
「・・・卑怯だよ・・・
そんな風に ごまかして・・」
「誤魔化してるわけじゃない。
ただ、俺は
春菜だけにしか感情はないから。
それだけは 信じろ」
こんな事を
力強く抱きしめられながら言われると
抵抗なんてできるはずない・・・
抱きしめ返すしかできない
自分の決断の弱さに
本当・・・
バカな女。
その言葉が相応しい。
そして、私は また
深みに どんどん はまっていくのだろう・・・
抜け出すことができないくらいに
どんどん・・・・
輝樹に対する思いは深く、深く
その分、傷ついていく自分が
想像できてしまう。
なのに・・・・
この腕を突き放す事ができない。