僕は頭を下げ、

挨拶をした。



「はじめまして。
高木雅人と申します。」


すると彼女の母も、

深く頭を下げ


「はじめまして。
姫乃の母です。
いつも姫乃が
お世話になってます」


と返してくれた。



そんなやり取りを、

見ていた姫乃が

笑いながらいった。



「おもしろい。
ドラマとかでこんなシーン
見たことあるよ。
ほんとにこんな風に
するんだぁ」



僕と彼女の母は、

思わず顔を見合わせて

しまった。



「ねぇ、中に入ってから
話ししたら?」



姫乃の言葉に

急かされるように、

部屋へと通された。



姫乃と彼女の母は、

僕を部屋に入れると、

出ていってしまった。



こうして1人で

座ってると、

少しほぐれた緊張が、

蘇ってくる。



どんな話をすればいいのか、

どう話を切り出せば

いいのか、

考える程、緊張してくる…



正直、帰りたかった…



すると、

戸の開く気配がした。


僕は思わずびくついて

しまった。



姿を現したのは、

姫乃だった。



姫乃は部屋に入ると、

僕の隣にきて、

小声でいった。



「やっぱり緊張してる?
大丈夫!きっと反対は
されないから」



僕はこの時、

彼女の中にある、

女の図太さのようなものを

見たような気がした…



すると、

また戸が開いた。



「お待たせしました」



そう言いながら

入ってくる彼女の母の

後ろに、人影がある。



いよいよ、

彼女の父親という

一番怖い存在との対面だ…