男の子の手にはたんぽぽの花が2輪。 「ほらっ、これで一人じゃないよ?」 男の子はあたしの髪と捨て犬の耳に取って来たたんぽぽの花をさした。 「わあっ ありがとうっ」 「うん!じゃあね」 あたしはその男の子を忘れない。 名前も聞けなかった、あの日の一瞬を。 8歳のときの夏だった。