「うえっ…ひっく」 ある日の帰り道、あたしは捨て犬を見つけた。 連れて帰ると、動物嫌いの母親にこっぴどく叱られて泣きながら来た道を戻る。 「どうしたの?」 「…え……?」 目の前にはあたしより小さい男の子がいて、目を丸くしてあたしを見ながら尋ねてきた。 「この犬、一人ぼっち…」 「捨てられてたの?」 あたしは静かに頷く。 すると男の子は何も言わずどこかに走って行った。 「はいっ」