「蛍ちゃんが、毎日よくやってくれるから助かっているよ。…毎日来るあの若者も褒めていたよ」

毎日来るあの若者とは…例の彼の事だろう。


午後、私はお客さんがひいたのを見計らいレコード盤の手入れをしている
これは毎日の私の仕事…店内の壁一面には、セピア色になった年代モノだろうジャケットやレコード盤が飾ってあるのだが毎日手入れをするのは大変で…今までマスター一人がしていたかと思うと尊敬してしまう程の数があったし 手入れも一つずつ微妙に違うので神経を使う仕事だったりする。
マスターは、パイプをくわえ休憩用のコーヒーを持って来るとすぐ横に腰掛けた……レコード盤だけじゃない…ここのコーヒーは、普段コーヒーなど飲まない私にも飲める程で常連さん達に言わせると真似る事のできない豆の調合と入れかたで一度ここのコーヒーを飲むと他では飲めなくなる…そうだ。その上、一人一人のコーヒーは好みに合わせてあるらしく信仰者は…何と国や政府の偉い人達もいる…そう初めて聞いた時は、驚いたがマスターは鼻にかけたりせずまだまだなどと笑っているので 別な意味でも凄い人だと思う…。(ある意味…マスターみたいな人を達人とかいうんだろうな…本人は、ただ笑っているだけだし?他の人なら自慢たらしくしてるよね~絶対にさ)

パイプ…一つでもそうだ。パイプをつけるのには コツがあるようで火だねを手の平で転がすのを見た時は驚いて…手の平を見せて欲しいというと笑っていた…今では、私の大切な人になっている位可愛がってくれるのだ。
マスター…で私の中に、ムクムクと好奇心が湧き上がりごまかすようにカップに口つけた。(うう゛気になるよ~彼と何話してたんだろう~?あぁ~駄目ダメ!お客さんの事は言わない…と最初に教えられたでしょ…私!)けど蛍は、噂話の楽しい年頃……好奇心を、抑えるのは大変だった。