沈黙に、堪えられなくなったのは私。



「ごめんなさい…やだな私ってばペラペラと…何言ってんのって感じで呆れたよね…………」



私は、雰囲気を変えたくて言ってみた………けど藤堂さんは相変わらず難しい顔のまま考え込んでいる。



チッチッチッ…時計の針の音がやけに大きな音に聞こえていた。



「迷惑かけて…ごめんなさい!あ、あの私…そろそろ帰りますから」


(吐き出した本音の何が駄目なの?…私だって、藤堂さんだからこそ弱みを晒しても良いと思っただけなんだよ!)


無性に、叫びたくなる衝動をグッと押さえ込み立ち上がると藤堂さんに頭を下げ玄関に走って行った。



「蛍!…十日、いや一週間だけ時間をくれないか?」


玄関前まで来ると、背後から藤堂さんの声がし立ち止まったが…そのままマンションを後にした。


(何を待つのよ?…追ってもくれないんだね。所詮、他人のヒステリーって思ったんだ…好きとか愛してると綺麗事言っても他人でしかないから…)


そう考えると、私が大切に思っているだけで…母さんもオーナーも他人でしかないのだと…思い知らされた気分だった。



16歳の蛍には、藤堂さんの態度は拒絶意外の何モノでも無かっし…あれから二日も一緒に過ごしたのに一度も触れる事はなかった。


だから余計に、藤堂さんを信じて愚痴…弱みを見せてのこの結果にどす黒いモノが広がったのだ。



「蛍ちゃん、ちゃんと理由を話してくれないかな?」
「我が儘言ってすみません!でも…もう決めたんです。」



帰り道…お店に立ち寄った。一度 全てクリアにして生活出来ずに死ぬのなら…それが運命だったのだと思い込むほどに暖まりかけていた心は…凍りついて暗闇の中にいた。