ドンドン…ドンドン…
ドアを、叩く音に目が覚めた。ふと時計を見上げると…10時少し前…少しウトウトとしていたらしい。
私は、のっそりと身体を起こして始めて身体に熱を感じ微熱があったと気付いた…が、玄関口にフラフラと歩いて行くと。
「蛍!居るんだろ…?此処を頼むから開けてくれないか?」
藤堂さんの焦った声に、一度止まり深呼吸をしてドアを開けた。
顔を合わせるのは…正直悩んだが合った方が、本当の気持ちが判るし逃げても仕方がない……。
カチャリとドアが開くよりも速く、藤堂さんが中へと入ってきたのだ。
「はぁ~良かった…居なくなるから…」
藤堂さんらしい…私を見るなりギュッと抱き寄せた。かなり焦っているらしく…いつもはきちんとしている身なりは、ボロボロ(ネクタイ無しボタンは嵌めきれてない…)
私は、つい笑うと少し離れてボタンをきちんと留めながら“ごめんなさい”と謝った。
「…悪かった…夕べ…あんな酷い事を………」
「酷い事?……私自身で…その…」
「蛍?………怒ってない…のか?」
「ううん、確かに…驚いた…は、初めてだったし…でも怒ってない…後悔だってしてない!!」
藤堂さんへと、つい言ってしまうと…一瞬目を見開き…次の瞬間抱きしめられたけど。
「蛍……熱が、熱があるのか!?」
「大丈夫だよ?…微熱だから…」
どうやら抱きしめた時に、熱いと感じたらしく…大丈夫だと言う私に 軽くキスをするとマンションへと連れ出した…それは、もう早業で有無を言わせない強引さだった。
…………二日後。
藤堂さんに、今までの事を全て話していた。
一つの仕事じゃなく、藤堂さんのビルで清掃バイトをしていた事…そのお陰で、弟や妹達に色々できて嬉しかった気持ち。
他の人と比べて妬んだ嫌な私自身………そして、翼との事を隠す事なく…
「…そうか…。」
藤堂さんは、たった一言発しただけ。…この二日は、翼が騒いだり清掃バイトの事がばれたり大変だったから…私自身は例え藤堂さんの答えがどうあってもスッキリとした気持ちだった。