私の部屋と藤堂さんの部屋じゃあ、とてもじゃないが天と地程の違いがある…。


それでも実際に、私が感じる事は…まだ狭く何もない我が家の方が人の生活感というか…暖かさを感じると思う。


藤堂さんの部屋は、まるでモデルルームのようなのだ。



「ねぇ、藤堂さんは結婚しないの?」



などと余計なお世話だと思いつつ…尋ねてしまうのだ。結婚生活なら少しは、暖かさがでるんじゃないかと単に口に出しただけだった…………。



「ハハハ…じゃあ蛍ちゃんがお嫁さんにどう?」
「…ヤダー、藤堂さんは探すことが面倒なんだ?だから私なんでしょ?妹さんに、私は似ているし?」



冗談のつもり……だって、藤堂さんとは妹にそっくりというだけの知り合いだった。それ以前に…例え元々孤児だとしても今は住む世界自体違い過ぎる………そこまで考えて…ふと‘ズキズキ’と胸元が痛くなった。


確かに、翼の時にも感じていたが…妬みとかではなく…もっと、もっと…
二人っきりの食事を終えて、私は後片付けをし始めるた…。



「蛍ちゃん、ちょっと良いかな?」
「はい?」



リビングからの声に、手を止めて藤堂さんの元に行った。




いつの間に、飲み始めていたのか…高そうなロックグラスに並々とウイスキーを汲み一気に流し込む姿に…私は、慌てて近づくとグラスを取り上げた。


「いつの間に…?藤堂さん、そんな飲み方は…」
「蛍ちゃん…否、蛍…俺の事は一人の異性とは見れないか?」
「……えっ?何言ってる………?」
「蛍は…妹じゃない!一人の女性だ!………こんなにも歳が離れてるんだ…俺も可笑しいんじゃないかと思う…けど、会う度に愛おしさが増し…会わなければと海外にも逃げた。けど…余計に…いい歳をしてと笑われても構わない!」



急に勢いよくソファーに押し付けるので押し返そうとしたが…



凄く強い力で、その上小刻みに震えていたから無理強いが出来なくなっていた…。


私は突然の事に、驚いたが藤堂さんが苦痛に顔を歪めて頭を抱え込む姿に…



(この人を、放っておいては駄目)



何故、そう思ったのか…ただの偽善者かもしれないけど…私は藤堂さんを、男性を始めて受け入れていた……。ただ、翼の時以上に私自身も藤堂さんを求めているのは自覚をしていた。