「待てよ!…言い逃げかよ…これじゃあ…」
「なっ…翼!?ちょっ…」
「好きだよ!………ひ、一目惚れなんて柄じゃない…くらい判ってる…けど!!…それでも、どんどん好きが大きくなって…何時でも蛍のことしか」

鍵を開けて中に入ろうとした…ガンガンガン…バタバタという音と共に、いきなり背後から抱き締められたかと思うと中へと押し込められた…そしてドンと壁際に押し付けられた。抱きしめられたまま…向かい合わせの体勢でこうして翼を見るとやっぱり男なんだと実感し…急に大人の男の顔をした。でも私には実際今何が起こったか理解出来ないが…それよりも翼の突然の告白に…頭が真っ白くなり、されるがまま唇が重なっていた。‘キス’と言ってもお互いに16歳…重ねるのが精一杯で、唇を離すとまともに目がバッチリ合い みるみる目の前の頬が真っ赤になり…私は怒るよりも笑ってしまっているとコツンと額同士つけ二人とも笑った。(不思議…嫌だって思わなかった。)

「だから何?…その顔…明日朝練なら帰らないとね!喧嘩は終了…ってね!」
「なっ…スルー!? 俺なりに…は、初めて…だったんだからなっ!」
「………告白?」
「違う…あっ、違わないけど!…その、蛍は…」


私の入れたコーラを、翼は一気飲みしながら恨みがましい表情を私に向けた………何を言いたいのかは判る。告白の返事を待っている…けど例え嫌じゃなくても、恋なんかしている隙などないので直ぐに返事をする勇気なんてなかったのだ。

「あー返事くれるまで、俺帰らないからな!俺は、蛍と一緒居たい好きだ」
「……今すぐは返事出来ない…でも、待っててくれるなら…撫で撫でしてあげよう!…ハハハ」
「なっ、あっ………………………………。」

時計は、既に真夜中だ…かなり遅くなったがオーナーにはには連絡しておいて正解だった。
私は、膝に頭を載せる翼の髪を笑いながら撫でるとギュッとしがみつくようにして黙ってしまった