「あれ……?あの人は………」


時々ある社屋への配達…コレも私の仕事の一つ。
オーナーが、年配な上にバイトも居ないせいで最近までは断っていたが私が入って再開したのだ。この日、私はこの周辺では目立つ高層ビルへと配達に来たが。…前方に黒い高級車、そして いつも来る見慣れた姿…今日も同じ時間に来ていたので間違えるはずもない彼だ。私は、つい立ち止まって付き人らしい男の人達にドアを開けて貰い乗り込み走り去るのをじっと見送っていた…が、ハッとして配達へと向かった。

「あぁ、いつも有難う…ん?…どうかしたかい?」
「………えっとね、さっきビルの前に………あっなんでもないハハハ……」 「ん~さっきっていうと……若様の事かい?ハハハ…蛍ちゃんも年頃の女の子だね~しかも目が高いときたね~良いね若いって…うんうん…」
(何が、うんうんなんだか…‘若様’か…やっぱりって感じだね)

適当に、おじさん達に相打ちをしながら自分とはやっぱり住む世界が違うのだと思っていた。