夕方…店が盛り上がる中私は、藤堂さんと河原の土手を二人で歩いていた
最初は、翼も一緒にと言っていたが…サッカー部の先輩からの呼び出しメールで明日お祭りに行く約束をして渋々出て行ったのだ。

「…とても良く似合ってるよ…」
「有難う…こんなに綺麗な浴衣…私には、一生縁がないって思ってたから…藤堂さんの方が良く似合ってる」

(何か、藤堂さんの浴衣姿って…わぁ周りの目が…怖いヒィ~って感じ離れた方が良いよね?)

人混みの中…女の人達は一度は藤堂さんを振り返る………浴衣姿の藤堂さんは素敵で色気!?がある
けど、横の私に視線を移すと眼光鋭く睨まれる。それに気づいた私は、そっと離れようとしてグイッと引き戻されいつの間にか手を繋いでいた……藤堂さんからすれば、私は手のかかる妹な訳だから迷子の心配をしているようだ。

(良いわよ?…今夜は、妹に成り切ってあげるから…………私には、それくらいしかお返し出来ないから)

「あっ!始まったよ!…うわー凄く綺麗……」
「……ああ…何年か振りにこうして…ゆっくり花火をみたよ…」

ヒュルルル…ッ、バアァーン…ドドド…バリバリバリ…………。
『ワアァ~』

轟音と、歓声で私も初めての光景にテンションも上がり…ごく普通の16歳の女の子に戻っていたようだ。だから横の藤堂さんが、私をどんな目で見ているかも気付く事なく楽しい一時は過ぎていった……。

帰り道は、あちこちの夜店にも寄り藤堂さんもまるで子供に戻っていたようで…真っ赤なりんご飴を食べながら祭りを後にした。


「こうして、二人で居ると本当に楽しいよ…蛍ちゃん、無理はしないように…身体も大切にした方が良い…私は、いつまでも側にいるから頼ってほしい…いいね、約束だ」

アパートの前まで来た時
私は藤堂さんと、約束を交わすと止めてある車へと乗り込んだ。窓越しに、何故だか二人とも何も言わずに見つめ合っていたが…私が先に雰囲気を壊すようにニッコリし素早く頬にキスすると走って部屋へと戻った…自分の行動か最近信じられず
にいた。
『おやすみ…楽しかったよ?』
直ぐにメールがきた…短くても嬉しい気持ちで携帯をギュッと握り締めていた…。