(どうしよう…どうしよう…ば、ばれ…ないよね…)

オーナーは、この日は藤堂さんにもあってゆっくりするるように言うので連絡をしたのだ…。藤堂さんは心配していて、すぐに会いたいからと私にオフィスへ来るように言うので来てはみたが…バイトの件がありドキドキとしていたのだ。


「…………渚…さ…ま」
「えっ?」

正面入口で、ウロウロとしていると中から…アノ、田嶋が出てきてギョッとした。


「はぁ…見つかって良かったよ。まぁ年頃だからたまに遊びたくなるだろが…蛍ちゃんは、違う…だからこそ心配だった」

私を、令嬢と間違えた田嶋の誤解を解くと今度は追い出そうとされ慌てていた所に藤堂さんが迎えに出てきたお陰で助かったのだ。


バイトをしているので中には何度も入っている…が、最上階の社長室は初めてだった。床は大理石にフカフカの絨毯…見た事のない装飾品。
それは、私とは違うと誇示していた……………。


「…ごめんなさい、私」 「何か悩んでいるようだけど…力に、なれない?私の妹の事は、話したよね?私は、今こそ……」

藤堂さん…彼から妹の話は聞いていたが。彼等が、私同様に孤児だとは初耳だった…まだ会社自体が安定しない時に妹を無くしたから充分な治療をしないまま亡くなりずっと苦しんでいたらしい………。正直…何も言えなくなっていた…もし私が同じ立場でも苦しんで自身を攻めるだろうから。

そうだ…今思えば藤堂さんは私と接する時は…私は、ごく自然に近づくと身体を包み込むように抱いていた…何故だか自分でも判らない同情かも。
藤堂さんは、最初こそ驚いていたけど 直ぐに何かにすがるようにして…しばらくそのままでいた。