「ええい、煩い!電源電源…」

先程からの着信や電話に、イライラとして鞄から携帯を出すと電源を切り息をついた。でも初めての体験に、内心はドキドキとして中々落ち着くことなどなかった…。
唯一のラッキーは、現在一般は夏休み。お陰でフラフラとしていても、違和感を持たれない事だ。
「さて…どうしよう…みんなは、どう過ごしている?……。」

まるで、異空間にいる錯覚を起こす。…同じ空間に同じ年頃だろう人達が、数え切れない程いる…いるハズなのに空間を共用できない。まるで目の前に、一枚の薄く透明だが確実に壁があり絶対に相稀ない…そう感じ絶望感を感じ孤独だった。 正直…“友達”が何かも知らないから最初から、共用できる訳がないのだ ………。


「蛍!? 見つけた!!…そこから、絶対に動くんじゃねぇぞ!!!!」
「……翼?」

行き場が無くなり、立ち止まっていると大通りの方から私の名を呼ぶ声がした…。呼ばれた方を振り向くと、翼が携帯片手に私に向かって怒りながら走って来ていた。

(何か…何か怒っている?何で……?)

その時の私には、何故怒っているのかさえ判らないまま一瞬で抱きしめられ唖然としかできなかった。