その日のうちに、私は藤堂さんの留守番電話に断ることだけ入れておいた。けれど諦めきれないので少しだけ清掃バイトに、行く前に書店へと寄ったのだが…………。この書店は、ビジネス街の中心地にあるだけあって種類も豊富で広い…その中の一画にあるティーン向け雑誌を見ると‘夏☆特集’で大きく《浴衣》が載っていたが…。

(うっ……やっぱり高いな。安くはないとは判っているけど想像以上に…これを買うなら、妹達にもお祭りに…………)
そっと雑誌を置くと、店をでたのだ。


「でね、孫に娘の…」
「あら家も…」

流石に、祭りも近いのでおばさん達も孫の事で盛り上がっていた。その時、ブ…ブブ…マナーモードの携帯が鳴り出した… が、すぐに藤堂さんからだと気づいたけど…見る気もせずほかって置く事にした。その後も、何度かかかっていたが見る事すらしなかった…


「はぁ~起きたくない…起きたくない…」

いつもなら、朝早く起きて家事をこなすのだが身体が重く怠さで布団を被ったまま30分程グダグダとしてから仕方なく起き上がった。

(やだやだ…貧乏性ね…いつまでも寝てる事すら出来ないなんて最悪ね)
ブツブツ呟きながらも、いつもより遅くなった分を取り戻すように手際よく家事を済ませると部屋を後にした。


しかし…働き…ううん学校時代も含めて、初めて無断欠勤をしてしまっていた。そして、始業時間にはフラフラと繁華街をアテもなく歩いていた。