「へぇ~蛍ちゃん、花火大会へ?じゃあ浴衣姿で??」
「…えっ?」
「あぁ、さっき聞こえてね。花火大会といやぁ浴衣姿!ってな。コーヒーもだが蛍ちゃんは、我らのアイドルだからなぁ」

毎日 顔を合わせている常連のおじさんに、アイドルなんて言われて驚いたがそれ以上に……花火大会には“浴衣”が定番だという言葉の方が………
その場は、笑顔でごまかした。

(ちょっと待って…浴衣姿が定番?………じゃあ、持ってないから一緒に行く藤堂さんに恥かかせるって事?例え…シスコンな人でも、立場上は…恥かかせて良い人じゃ…)

私は断らないと…そう思っていると背後から抱き着かれた。私にはすぐに 誰か判って、盛大な溜息をつきながら引きはがした……そして、もしかして翼も彼女と行くなら…

「ねえ、翼も花火…」
「そ、そうだっ…!蛍っ お前…あいつと花火大会へ行くってマジ!?爺さんが…」

どうやら翼がいなかった時の話を聞いて来たらしいが、何故怒っているんだろう????????


「ねえ翼…花火大会と聞いて何を思い浮かべる?」
「ん?花火大会で?………浴衣姿?後、りんご飴か…良いよなぁ~浴衣姿の彼女と手を繋いで…」

やっぱり…浴衣かぁ…まぁ翼は良いや…何か妄想入ってるから放っておこう…私は、その場に翼を置き去りにし藤堂さんに連絡して断ると決めて仕事に戻ったが…内心行って見たかったなと残念だった。