「…なぁなぁ、何処?店?」
「こらっ…少し落ち着かんか!!」


マスターが出掛けてから 二時間…いつも以上に、細かい所やカウンター内の水回りもピカピカにしていると大声が聞こえてきた…どうやら戻って来たらしい。私は、すぐにでもコーヒーが入れられるようにと準備をした。


―――その後。

私に色々としつこく話し掛ける赤毛の男…竹内 翼(たけうち つばさ)マスターの孫だが、私と同じ歳の高校一年でまるで犬っコロのようなタイプ。

ハッキリ言えば苦手なタイプだ…とにかく、好奇心の固まりって感じので人の中に入り込もうとする。現に今がそう…(あぁ~そんな顔…顔近っ…あぁ、煩い!)懐く!?と言うか、気に入るとべったり…見る人が見れば…もしかして尻尾と耳が見えるんじゃないのかって感じ。何もかも私とは正反対な人種だ…。店内に入って来るなり走りよってじっと顔やら全体的にじっくり観察…動かなくなったかと思えば、いきなり抱き着く迷惑な奴。

「ハハハ…翼ぁ良かったな~そうそういないぞ?こんな綺麗な娘は…まっ、翼には勿体ないな。」

豪快さのあるタイプ…父親 竹内 文雄(たけうち ふみお)学校の体育教師らしい。ある意味、この親子は迷惑タイプの似た者…不思議はマスターとは、似ても似つかない事。私達を、黙って笑って見守っている(アッ…ある意味では、一番の大物なのはマスター!?)…私は、意外な事実に気づいたと笑ってしまっていた。