次の日…思っていた通りに小さな子供達の笑顔は、最高の癒しとなっていた。お菓子の取り合いやケンカの光景は…多分、今のご時世じゃ味わう事など出来ないわよ?なんて思えちゃう位に幸福だと社会へと一人出た私は実感し始めていた。特に最近色んな感情の変化でクタクタだったのだ。


「蛍、何か困ってる事はないの?彼から真面目で人気者とは聞いているけどね」
「人気者って…でもねマスターはお父さんみたいなんだよ?お父さんって判らないけど……ね」
「ふふふ…良いのよ?そう思えるだけでね……ところで、蛍も年頃じゃない…どう?恋人…ううん好きな人は………?」

小さな子供達が、外に出ていった後…お母さんは まるで乙女!?のように目を輝かすと身を乗り出し探るので笑ってしまったが、私の居た頃では考えられないほど楽しく時を過ごし夕食の後…自宅へ帰った。


「待っていて、正解だったよ…マスターに聞いて夜遅くなると思ってたんだが」

アパートのドアの前に、人影を見つけ慌てて近づくと何故か藤堂さんが待っていた…………。どうやらマスターから住所や今日一日孤児院へと帰っている事を聞いたらしいが、私には見覚えがあるアノ話だと思ってぐっと手を握った。でもある程度の覚悟はあったのでフッと息をつくとこんな所は不釣り合いな藤堂さんを仕方なく部屋へと招き入れる事にした…近所で変な噂も勘弁してほしかったのが一番の理由でもある……。