はあぁぁ~今日何度目の溜め息だろう…彼が帰る時にレジで一枚の名刺を千円札と一緒に私に渡して『色々と話してみたいから、きちんと名乗るよ…仲良くなるためにね』そう言い添えて帰って行ったので…余計に、モヤモヤとし落ち着かない気分でいつも以上に精神的にも疲れていた。(話してみたい…って? もしかして…ばれた?それ以外考えられない!どうしよう…16歳だってばれたら…辞めさせられちゃう!)
そう、ドキドキするといっても…いわゆる恋とか愛じゃない。彼、藤堂 隆一(とうどう りゅういち)とはほぼ一回りも歳が違う…私は年増好きじゃない…まぁ確かに気になる存在だったが。それに第一私には恋愛などする余裕はない…今現在を生きていく事柄が最優先事項なのだ…本音を、漏らすなら私自身がきっと他人を信じられないと思う。今まで孤児というだけで…馬鹿にされたり、厭味ったらしい同情・蔑む目…偽善者…色んな人々を幼い頃から見てきている。だから私自身は、馬鹿にされないように人より努力して頑張ってきたので今この世の中で…お母さんと父親の様なマスターだけが大切で信頼できる人間なのだからドキドキしたから好きとか簡単な話ではないのだ。


「蛍ちゃん、お疲れ様…明日はゆっくりすると良い。でも何かあったら連絡するんだよ?」
「はーい!お疲れ様でしたー!!」

今日は、バイトも休みだし 明日は店も定休日なので悩み事はあっても足どりは軽かった。帰り道、明日は孤児院へ行くつもりで大量のお菓子や文具を買い込んでいた…(買い過ぎたよ…結構重っ…でも何か嬉しいからいいか!!)ずっと何かしたいと思っていたので念願が叶って凄く嬉しかったのだ。いつもお母さんは、みんなの喜ぶ顔を思い浮かべると嬉しくなるっていっていた気持ちが少なくともわかった気がし一人微笑んでいた。