俺を、温めて…
暖かい手で…俺をゆっくりと抱きしめてください…

そしたら俺は、満足ですから─…



部屋を真っ暗にし、ソファーに倒れ込んでいる俺。
ソファーのふかふか具合がとても気持ちよくて…天井に背を向け、寝転がる。
暗闇の中、空を見つめる。
空も暗くて、時々走る稲妻が、俺の顔を照らす。

『助けて…』


この弱音は、余計俺に虚しさと孤独感を与える。

『綾音…』


キミの名前を呼びたかったよ。
また会いたかったよ…
でももうキミの名前を呼ぶことは出来ない。

そして、もう会えない。
だってキミはもうヒトのモノ。


するとメール着信音が静かな部屋に鳴り響く。
俺は起き上がり、洗濯機から制服のズボンを取り出し、携帯を取り出した。


『ポケットに入れっぱなしだった』


いけない、いけない。
携帯まで洗ってしまうところだった。